千曲市・霊諍山の石神仏
霊が諍(いさ)める山と書いて、霊諍山(れいじょうさん)。
長野県千曲市八幡(旧更埴市)に豪壮な石垣を持つ大雲寺という禅宗の寺がある。目の前には広大な蓮池。私の行った7月中旬は、蕾をほころばせ、この世知辛い現世に穢れなき花を咲かせようとしていた。見頃は7月下旬から8月にかけて。池一面を埋め尽くす。地元の新聞は開花した蓮池を、毎年一面にカラーで載せるほどである。
蓮の見頃には少し早かったが、見事な紫陽花が参拝者を迎えてくれる。
そして霊諍山はこの大雲寺の裏山にある。
参道入り口の矢印通り雑木林の中を20分ほど歩くと「大国主命」の額が掲げてある鳥居にたどり着く。
神様、仏様、恵比寿様に大黒様、鬼に奪衣婆、そして猫神様。
新しく仲間入りした如意輪観音様はガラスの向こう側でアンニュイとしていた。
これは数年前に信者から寄進されたもの。なんとまあ、艶っぽい如意輪だこと。
まずは大日如来様がお出迎え。
出たぁ〜、奪衣婆(だつえば)! 三途の川で亡者の衣を剥ぎ取る閻魔大王の妹。
さて、いよいよ猫神様の登場。養蚕業が盛んだった時代、大切に育てた蚕のサナギを狙うネズミは悩みの種。そこでネズミの大敵である猫を蚕の守護神として崇めたそうだ。ここの2体の猫神様はとってもユニーク。1体はチャンチャンコにフンドシ、デベソでガニマタ、もう一体は人面猫。とくとご覧あれ。
石神石仏百余体。霊諍山は面白い。標高490.5mの小山である。
土俗信仰を知る上で貴重な存在であり、気軽に行けるハイキングコースでもある。
ただし、道順通りに行くと裏参道に出てしまい、大雲寺に停めた車まで田舎道をしばらく歩くこととなる。