志賀高原 峠の三十三観音


 十月中旬の志賀高原はすっかり秋色に染まっていた。紅葉狩りの人々やアマチュアカメラマン達が、一足早く色付いたこの地に集っていた。だが私達の目指していたものは「峠の三十三観音」。

 先ず観光協会に行き「朱印帳」を購入。巡拝コースの地図と全ての石仏の写真入り、思っていたより立派な朱印帳、というかスタンプ帳。石仏一つ一つにスタンプ箱があり自分で押して集めていくのだという。近くの蓮池で紅葉を愛でてから、出発点であるサンバレーまで戻り「峠の三十三観音スタンプラリー」スタート。こちらから行くと三十三番から三十二、三十一と逆に巡ることになるのだが、道は下りだから体力的には楽である。本当の出発点は志賀高原ロマン美術館の近く国道292号線運動公園入口のバス停から山に入るルートが正しい。といっても「朱印帳」は観光協会にしか置いてないし、アバウトな地図しか持ってないから、観光協会に行けば何とかなるだろうと軽く考えていただけだけれど。車道と林道を行ったり来たりしながらスタンプラリーを開始した。

 草津街道について
 上州(群馬県)の草津温泉と信州(長野県)の渋温泉を結ぶ全長七里(28km)の街道。一日がかりのルートである。

 志賀高原 西国三十三観音様の由来  峠の観音
 …草津街道は人の往来は盛んだったとはいえ、標高2172mの峠を越える難所。牛や馬に荷を乗せて山を越えるものだから、事故が頻繁に起きていた。沓野観音講の人々は地元の山稼人の、また旅人の安全を願って、文政二年(1819)に祭られたのがこの「峠の観音」である。 これは地蔵信仰と並び、最も庶民の信仰を獲得していた西国三十三観音霊場からもらい受けたご本尊の絵姿をもとに、石工に彫ってもらったものである。


 三十三番と三十二番は同じ岩の上に並んでいる。

 車道を歩き三十番へ、少し戻り一沼入口から林道に入ると三十一番。白樺並木と一沼に映る秋を満喫しながら沼を半周。この林道と車道が交差するところに二十九番があるはずなのだがなかなか見つからない。やっと地図とは違う方向に発見。ここから車道を横断し反対側の林道に入る。と、この朱印帳の地図がなきゃ迷うだろうな。持っていても迷うんだから。


 一沼の辺、白樺と色付いた木々。


 一沼付近から見た秋色に染まる志賀のお山。


 二十八番の聖観音


 二十六番の聖観音。紅をさしているね。それとも鼻血?


 二十三番の十一面千手観音。見返り千手に見えるのは私だけ?


 二十番の千手観音。線彫りを赤く染め、何故だか眉だけ黒い。


 十七番の十一面観音。


 でっかい岩の上にちょこんとおわす十五番の十一面観音。


 十番の千手観音。


 秋の日は釣瓶落とし。夕暮れが近づいてきた。急がねば。


 五番と四番の間にある中部電力水力発電所。「平穏第一」、ええ、平穏なことが一番ですよね。「安全第一」のような印象を受けますが、これは地名で「ひらお」第一と読みます。


 近づく夕暮れにあせる人達。まさに飛び出し注意。


 何故か三番は別の場所に二つある。


 二番の十一面千手観音。


 最後の一番、如意輪観音。満願達成! 最後の一枚はフラッシュなしでは撮れなかった。明るければ小川のせせらぎを聞きながらの満願達成だったのだが、如何せん出発の時間が遅かった。一つ一つの石仏を写真に収め、スタンプを押していれば、2時間半の道のりもプラス1時間になってしまう。出遅れたのも道中を時間オーバーしたのも全て私のせいである。ごめんね、暗くなってきちゃったね。しかも帰りのバスの時間まで一時間。冷え切った体を温泉で温めて帰路についた。私は朱印帳が埋まったことに満足し、ほくそ笑んでいる。また一冊増えたと。

 全長3.5㎞。標高差640m。登り3時間30分、下り2時間30分。スタンプラリーと写真を目的とする者はプラス1時間。足場は枯葉の敷き詰められたやわらかい道、岩場もないし比較的楽。登りはどうかわからないけど。紅葉を愛でながらのトレッキング・コースとしてオススメ。


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