永観堂
見返り阿弥陀と永観律師
永保2年(1082)2月15日早朝。阿弥陀堂で一人、夜を徹して念仏行に励んでいる僧侶がいた。その名は永観(ようかん)。東の空がしらじらとし始めた頃、ふっと緊張が解けた一瞬、永観は息をのんだ。自分の前に誰かがいる。それが誰か気が付き足が止まった。 「永観、 遅し」。 振り返りざまその方は真っすぐ永観の眼を見つめられた。
永観堂禅林寺の御本尊は、首を左にかしげ、振り向いておられます。ほんの少し開かれたお口、お顔全体にただよう穏やかな微笑み。それは遠い昔、永観律師を励まされた時のまま。阿弥陀様の慈悲のかたちがこれほど具体的に表されている仏様は例がなく、「見返り阿弥陀」と呼ばれ、広く知られています。
おまけ