信州善光寺 初詣(2)「白蓮坊」
全国には443もの「一光三尊阿弥陀如来善光寺仏」があり、「善光寺」を正式寺名とする寺院が119ヵ寺ある。しかも「西国・坂東・秩父の観音霊場」番外札所でもある。遠く離れた霊場の締めが善光寺とは。 信州信濃の善光寺には39の宿坊が並ぶ。その中の一つ、お気に入りの「白蓮坊」へ。
来る度に写真を撮ってしまう「むじなくんとお地蔵さん」。(むじな(狢・貉)とはアナグマの異称。タヌキをムジナと呼ぶこともある。広辞苑より。)
「むじなさんは みんなのしあわせを いのっています。あたまをやさしく なでてあげてね。」
「むじな燈籠の物語」
むかし下総の国に住んでいたむじなが人の姿となり、善光寺参りの講中にまじって善光寺にお参りをしました。むじなは殺生(せっしょう)することなしに生きてはいけない自らの罪業を恥じ、後生を頼むため善光寺に燈籠を寄進したいという願いを持っていました。白蓮坊を宿に定め、ようやく善光寺への参詣を果たしたむじなは、その晩安堵してお風呂につかりました。ところがうっかりむじなの姿のままで湯を浴びているところを見られてしまい、あわててどこかへ逃げ去ってしまいました。姿を消したむじなを不憫に思った住職は、むじなが燈籠を寄進したいという願いを持っていたことを伝え聞いて、一基の常夜燈を建ててあげました。それが本堂正面に向かって左側、経蔵北に今も残る「むじな燈籠」と言われています。
見よ。このむじなくんの一途な瞳。数珠を手にけなげに一生懸命祈っている姿を。
こちらはせんとくん、じゃなくむじな地蔵くん。お正月ですから黄金の衣をまとってます。時々着替えたりもします。それは後ほど。
「むじな地蔵」
むじな燈籠の伝説に込められた、おおらかな善光寺如来の慈悲の世界を、藪内佐斗司先生(東京芸術大学大学院教授・彫刻家)が天真爛漫な童子形のお地蔵さまと、一途なむじなの姿で表してくださいました。白蓮坊堂内には、この像の原型となりました木造の「むじな地蔵」が安置されています。
藪内先生といえば平城遷都1300年祭の「せんとくん」が有名。好き嫌いがあるようだけど、私は好き。2006(平成18)年に建立。ご住職も東京芸大出身、姉も女子美卒ということもあって坊内には万華鏡、トンボ玉などを扱うアートショップがある。
では堂内に入ってみましょう。
おぉっ!! 何度か来たことはあるが、この演出は初めて。投影万華鏡で彩られている。
このような素敵な小物を売っている。万華鏡や天然石を使ったブレスレット作りが体験できる。予約不要。
最後に相馬御風作、「善光寺むじな燈籠の歌」。
むかしむかし下総の/ むじなが燈籠をあげたとさ/ むじな燈籠に火のともりゃ/ 今もお山のむじなたち/ なむなむなむと拝むとさ