京の宿坊に泊まる(3)「 妙心寺塔頭・大心院」

せっかく京都に来たのだから、もう一泊したい。ということで前日に「明日のお部屋は空いてますでしょうか」といくつかの宿坊に電話をかけてみた。ひとつはどうしてもつながらず、もうひとつはお一人様お断わり、3件目で予約が取れた。妙心寺内にある「大心院」。こちらには「阿吽庭」という白砂と苔の庭に五色十七個の石を配し、仏・菩薩を象徴した第二の本堂といわれる庭がある。私の泊まってみたい宿坊リストにもちろん入っている宿坊のひとつ。


門をくぐると意外と広く、いったん荷物を預けお寺巡りのため外出。

門限を少し過ぎての到着だったので、恐縮しながら部屋に案内してもらう。2面が襖、2面が障子その向こうは廊下を挟んでガラス戸の四畳半の角部屋。エアコンとコタツが用意してあった。が、2月の京都の夜はまだまだ寒い。


しかも、コンセントジャックがひとつしかなく、コタツを使えばカメラの充電ができす、充電すればコタツが使えず、これには少し困った。お風呂上りは湯冷めしないようにと毛布に包まり、早めに就寝。

京の宿坊に泊まる 妙心寺塔頭「大心院」翌朝。

朝のお勤めは6時から。頑張って起きた。2月の6時はまだ夜明け前。空には三日月が輝いている。

しかも寒い。本堂は宿坊のある離れから渡り廊下を進みすぐの所。時間は過ぎる。だが、始まる気配がまるでない。庫裏に声を掛けてみた。大黒さんが出てきて「申し訳ない。住職の持病である腰痛が悪化し今日はお勤めができない。」という。げげっ!この私が6時に間に合うよう、頑張って起きたというのに。まあ、仕方ない。去年腰の手術をしたと言ってたし、無理はできないのであろう。写真撮るにはまだ暗い、いったん部屋へ戻る。
明るくなってきた。カメラを持って院内を散策。御本尊も阿吽の庭も本堂前の庭も波椿の庭(大黒さんに聞いたら「あちらは普通の庭」とのことだったが、私は勝手に「波椿の庭」と命名した)も独り占め。贅沢な時間を過ごさせてもらった。


本堂内の御本尊。金雲が浮かんでいる。優しいお顔をしていらっしゃる。 頭上に化仏を頂いているが十一面はなさそうだ。ということは何観音様なのであろう。


本堂前のお庭にも特別名前があるわけではなさそうだ。


宿坊の一番いい部屋の前に「阿吽庭」。左奥の築山にあるのが釈迦三尊石。中央にお釈迦様、脇侍に文殊菩薩普賢菩薩を従えている。


普通の庭とおっしゃっていたが、どこが普通の庭なんだ。白砂を敷き詰め、波(山かもしれない)の形に綺麗に刈り込まれた椿の生け垣。いくつかの石を配置した立派な庭である。私の泊まった角部屋の前に数輪の花を咲かせ、背後には竹林。勝手に「波椿の庭」と命名させてもらった。


今日の宿泊客は私一人だったので、わざわざお膳を運んできて下さった。寒いが障子戸を開け広げ、「波椿の庭」を愛でながらの朝食。聞こえてくるのは鳥のさえずりばかり也。
「おかげさま 大心院」。